【基本情報技術者】経営戦略マネジメントについて

基本情報技術者
この記事は約12分で読めます。

しばらく晴れていたのに、梅雨が戻ってきました。

梅雨のじめじめに負けず、今日も頑張っていきましょう。

スポンサーリンク

基本情報技術者~経営戦略マネジメント~

経営戦略

経営戦略とは

経営戦略(ストラテジ)とは、ライバル社に勝つための戦い方です。

  • 3つの経営戦略
    経営戦略は大きく分けて「全社戦略」「事業戦略」「機能別戦略」の3つがあります。

SWOT分析

SWOT分析とは、経営戦略を立てるために、会社が置かれている経営環境を「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つに分類する手法です。これにより、自社を取り巻く経営環境を把握することができます。

  • SWOT分析のやり方
    SWOT分析は最初に、各項目を「内部環境」によるものか、「外部環境」によるものかを分類します。
    • 内部環境:自社の努力で変えられる項目
    • 外部環境:自社ではコントロールできない項目
  • これを更に、「良い影響を及ぼすのか」「悪い影響を及ぼすのか」を判断して次のように分類します。
    • 内部環境であり、良い影響を及ぼすもの:強み(Strengths)
    • 内部環境であり、悪い影響を及ぼすもの:弱み(Weaknesses)
    • 外部環境であり、良い影響を及ぼすもの:機会(Opportunities)
    • 外部環境であり、悪い影響を及ぼすもの:脅威(Threats)
メリットデメリット
内部環境Strengths(強み)
・たくさんの特許
・よいブランドイメージ
Weaknesses(弱み)
・社員のモチベーションの低下
・離職率の増加
外部環境Opportunities(機会)
・自動車需要の増加
・円役
Threats(脅威)
・競合会社の増加
・他社製品の価格低下
  • ベンチマーキング
    ベンチマーキングとは、自社のやり方と、業界で最も成功している企業のやり方を比較する手法です。

全社戦略

PPM

PPM(Product Portfolio Management)とは、自社の資源を投下する事業や、反対に撤退すべき事業を分析するための手法です。
PPMでは、自社の事業(もしくは製品)を「問題児」「花形」「金のなる木」「負け犬」に分類して分析を行います。

  • PPMの使い方
説明
縦軸
市場成長率
市場全体の売上の伸び率。新たな製品が販売されてからはしばらくは市場成長率が高いが、その後、製品が消費者に行き渡ると市場成長率が低くなる。
横軸
市場占有率
市場のおける自社製品の占有率(シェア)。占有率が高ければ高いほど有利にビジネスを展開できる。PPM上では市場占有率の高い左側に「花形」と「金のなる木」がある。
  • 問題児
    問題児とは、市場成長率が高く、かつ市場占有率(シェア)が低い製品のことです。ここでの競争に勝つと「花形」になります。
  • 花形
    花形とは、市場成長率が高く、かつ市場占有率(シェア)も高い製品のことです。ここでの競争に勝つと「金のなる木」になります。
  • 金のなる木
    金のなる木とは、市場成長率が低く、かつ市場占有率(シェア)が高い製品のことです。金のなる木も、最終的にはすべての消費者に製品が行き渡ると需要が減るため、「負け犬」になります。
  • 負け犬
    負け犬とは、市場成長率が低く、かつ市場占有率(シェア)も低い製品のことです。会社は「負け犬」となった製品から撤退する必要があります。

PPMをより深く理解するための「3つのキーワード」

PPMをより深く理解するには、次の3つのキーワードについて理解することが不可欠です。

  • 規模の経済
  • 経験曲線
  • プロダクトライフサイクル
  • 規模の経済
    規模の経済とは、製品の生産量が増えるほど、1個あたりの生産コストが減ることです。「スケールメリット」とも呼ばれます。
    「固定費」は生産量をいくら増やしても一定です。従って、生産量を増やせば増やすほど、1個あたりの固定費が安くなります。
  • 経験曲線
    経験曲線とは、特定の製品をたくさん生産すると、単位あたりのコストが下がるという現象です。「ラーニングカーブ(学習曲線)」とも呼ばれます。
    作業する人がたくさんの経験を積むことによって、短時間でより多くの製品を作れるようになり、製品を作れば作るほど1個あたりの単価が安くなります。
  • プロダクトライフサイクル
    プロダクトライフサイクルとは、製品が発売され、成長し、そして衰退して消えるまでの過程を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階で表した理論のことです。
段階解説
導入期製品の認知度が低く、需要が多くない段階。認知してもらうためにたくさんの投資が必要になる。
成長期製品が認知された段階。競合が増え、他社との競争に勝つために、設備投資など多くの投資が必要になる。
成熟期潜在的な消費者に製品が行き渡った段階。需要が下がっていく。他社との技術力に差がなくなり、値下げ競争が始まる。
衰退期すべての消費者に製品が行き渡った状態。需要が減り、競合が撤退していく。
  • 3つのキーワードと「市場占有率」
    3つのキーワードと横軸「市場占有率」との関係性について説明します。
    市場占有率が高いということは、他社より生産量が高いということです。生産量が多ければ、規模の経済や経済曲線の効果から、製品を生産するコストが低くなります。そのため、他社よりも安く製品を作ることができます。
  • 3つのキーワードと「市場成長率」
    3つのキーワードと縦軸「市場成長率」との関係性について説明します。
    3つのキーワードのうち、市場成長率はプロダクトライフサイクルが元となっています。市場成長率とプロダクトライフサイクルの関係性を以下の表にまとめます。。
PPM問題児花形金のなる木負け犬
プロダクトライフサイクル導入期成長期成熟期衰退期
需要
投資

コアコンピタンス

コアコンピタンスとは、会社の核となる強みであり、競合他社が簡単に真似できないノウハウや技術のことです。コアコンピタンスの例としては「特許」が挙げられます。

小休止!お試しトライ!過去問①

問1 コアコンピタンス経営

問題
コアコンピタンス経営を説明したものはどれか。

平成24年度

ア.企業内に散在している知識を共有化し、全体の問題解決力を高める経営を行う。
イ.迅速な意思決定のために、知識の階層をできるだけ少なくした平型の組織構造によって経営
  を行う。
ウ.優れた業績を上げている企業との比較分析から、自社の経営革新を行う。
エ.他社にはまねのできない、企業独自のノウハウや技術などの強みを核とした経営を行う。

解答
ア.から順に見ていきます。

ア.ナレッジマネジメントの説明です。
イ.フラット型組織の説明です。
ウ.ベンチマーキングの説明です。
エ.コアコンピタンス経営の説明です。

従って、解はエ.となります。

事業戦略

コトラーの競争戦略

コトラーの競争戦略とは、各企業を市場の大きさに応じて、「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」の4種類に分けて考える理論です。

分類説明
リーダー業界でトップシェアの企業。
リーダーの戦略は、市場規模の拡大。
リーダーの戦略を、全方位戦略という。
チャレンジャー業界で第2位以下の企業。
チャレンジャーの戦略は、リーダーとは差別化した戦略で勝つこと。
チャレンジャーの戦略を、差別化戦略という。
フォロワー業界で第2位以下の企業で、かつチャレンジャーのようにリーダーを倒すリスクは負わない企業。
フォロワーの戦略は、リーダーやチャレンジャーの成功事例を真似すること。
フォロワーの戦略を、模倣戦略という。
ニッチャーニッチな市場を狙うシェアの低い企業。
ニッチャーの戦略は、売る商品やチャネルを限定して、特定の領域に経営資源を集中させること。
ニッチャーの戦略を、特定化戦略という。

イノベーター理論

イノベーター理論とは、消費者を「商品を購入する時期」によって5つのタイプに分けて考える理論です。

タイプ説明
イノベーター「まだ誰も持っていない」という理由で、新商品をいち早く買う消費者。
アーリーアダプター新商品が出たらすぐに情報収集をして、自分の中で合格点が出たら買い、その感想を口コミやSNSで広める消費者。
アーリーマジョリティアーリーアダプターの影響を受けて、流行が終わる前に買う消費者。
レイトマジョリティ新商品の購入に消極的で、持っている人が多数派になると買う消費者。
ラガード新商品への興味が薄く、ほとんどの人が持っている状態になってから購入を検討する消費者。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、企業の活動を5つの主活動(購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス)と、4つの支援活動(全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達活動)に分割して考えることで、製品やサービスの付加価値が事業活動のどの部分で生み出されているかを分析する考え方です。




全般管理(インフラストラクチャー)


人事・労務管理
技術開発
調達活動
購買物流製造出荷物流販売・マーケティングサービス
主活動

事業戦略の目標と評価

バランススコアカード

バランススコアカード(Balanced Scorecard:BSC)とは、業務評価を「財務」「顧客」「内部ビジネスプロセス」「学習と成長」の4つの視点で行う手法です。

視点説明
財務財務諸表などの視点から評価する。
顧客お客様の視点から評価する。
内部ビジネスプロセス業務プロセスから評価する。
学習と成長従業員と会社の能力から評価する。

以下は架空の航空会社のバランススコアカードの一例です。

視点CSFKPI得点
財務少ない機体飛行機のリースコスト20%削減18%削減
顧客常連客確保顧客定着率90%以上93%
内部ビジネスプロセス時間厳守定刻離着陸90%以上98%
学習と成長従業員のモチベーション向上クルーの持株比率70%以上55%
  • CSF
    CSF(Critical Success Factors:重要成功要因)とは、戦略目標を達成するために必要となる具体的な要因です。なお、CSFに設定するものは「定性的」なもので、数字で表すことのできないものです。
  • KPI
    KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、戦略目標の達成状況を示す指標です。定性的なCSFを評価するために、「定量的」なKPIを設定します。定量的とは数字で表すことのできるものです。

小休止!お試しトライ!過去問②

問1 コトラーの競争戦略

問題
競争上のポジションで、ニッチャーの基本戦略はどれか。

平成29年度

ア.シェア追撃などのリーダー攻撃に必要な差別化戦略
イ.市場チャンスに素早く対応する模倣戦略
ウ.製品、市場の専門特化を図る特定化戦略
エ.全市場をカバーし、最大シェアを確保する全方位戦略

解答
ア.から順にに見ていきます。

ア.チャレンジャーの戦略。
イ.フォロワーの戦略。
ウ.ニッチャーの戦略。
エ.リーダーの戦略。

従って、解はウ.となります。

マーケティングの基本

マーケティングミックスと4P

マーケティングミックスとは、マーケティングの目標を達成する際に用いる、自社がコントロール可能な4つの手段のことです。この4つの手段のことを「4P」と呼んだりもします。
4Pとは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(場所)」「Promotion(販売促進)」です。

  • ホンダの4P
手段事例
Product(製品)壊れにくい小型バイク。
Price(価格)学生が買いやすい価格。でも自転車よりは高い価格。
Place(場所)アクセスのよい都市部の明るいお店。
Promotion(販売促進)「YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON A HONDA」(素晴らしい人々、Hondaに乗る)という広告。

4C

4Cとは「Customer Value(顧客にとっての価値)」「Cost(顧客の負担)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーション)」の4つの頭文字を取ったものです。
売り手の視点を4Pで表し、買い手の視点を4Cで表します。

コストプラス価格決定法

コストプラス価格決定法は、製造原価にマージンを加えた金額を販売価格にする方法です。以下の式で商品の販売価格を決定します。

販売価格 = 製造原価 + マージン

製造原価とは、売上原価のことです。また、マージンとは、売上総利益です。売上総利益は、販管費と営業利益を合算した金額です。

経営管理システム

ERP

ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)とは、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を総合的に管理する手法です。
ERPで管理することにより、各部署が持っていた情報を一元管理することができます。このことにより、経営資源を統合的に管理することができます。

CRM

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは、顧客との良好な関係を築くことで、長期的な利益を得る手法です。CRMの目的は、顧客ロイヤリティの獲得と、顧客生涯価値の最大化です。
CRMでは、顧客の個人情報や購買履歴などの情報を一元管理します。

SFA

SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)とは、営業ノウハウを共有するためのシステムです。CRMが顧客情報を一元化するのに対して、SFAでは見込み客を顧客に変えることを目的として、営業情報を一元化します。

SCM

SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)とは、社内だけでなく、社外も含めた調達・生産・販売などのプロセス全体の最適化を行う手法です。
SCMを使うと、企業同士を鎖のようにつなげて、供給プロセス全体を最適化できます。

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、個人の知識や情報を組織全体で共有することです。経営資源のうちの「情報」を、ナレッジマネジメントでは「暗黙知」と「形式知」の2つに分類します。
暗黙知は、文書化されていない、個々の社員の経験やノウハウなどです。
一方、形式知は、文書化された、社内で共有できる知識です。
ナレッジマネジメントでは、暗黙知を形式知に変えることで、知識を企業内で共有し、作業を効率化します。

小休止!お試しトライ!過去問③

問1 マーケティングミックスと4P

問題
マーケティングミックスの説明はどれか。

平成23年度

ア.顧客市場をある基準で細分化し、その中から最も競争優位に立てる市場を選定すること
イ.市場の成長率と自社の相対的市場シェアの組み合わせから、各事業の位置づけを明確にし、
  それぞれの事業の今後の施策を検討すること
ウ.製品戦略、価値戦略、チャネル戦略、プロモーション戦略などを適切に組み合わせて、自社
  製品を効果的に販売していくこと
エ.導入期、成長期、成熟期、衰退期のそれぞれにおいて、市場や競合商品などとの関係を意識
  した、適切な施策を採っていくこと

解答
マーケティングミックスとは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(場所)」「Promotion(販売促進)」です。これに当てはまるのはウ.です。

また、ア.はセグメンテーションの説明です。
イ.はPPMの説明です。
エ.はプロダクトライフサイクルの説明です。

従って、解はウ.となります。

最後に

今日は、経営戦略マネジメントでした。経営戦略マネジメントと聞くと、何やらわけのわからないものというイメージを持たれるかも知れませんが、中身を見ていけば、なんとなくどういったことをするのかがわかっていただけたかと思います。

ちなみに、テキストを読まないと完全な学習は行えませんので、ぜひ下で紹介している本をご購入いただけたらと思います。

こちらが参考にさせていただいているテキストです。

白川秋
白川秋

ではでは、参考までに

コメント

タイトルとURLをコピーしました