VPNやプロキシを使ってネットの安全性や匿名性を高めている人は増えてきました。しかし、これらを併用しても、正しく設定していなければ「DNSリーク」が起きてしまい、個人情報が漏れてしまうことも。
特にWindowsを使っていると、自動でDNSを処理する仕組みが働くため、知らないうちに通信内容が漏れてしまうリスクがあるんです。
この記事では、WindowsでプロキシとVPNを併用する際にDNSリークを防ぐための具体的な設定方法や注意点を、わかりやすく解説します。
プロキシ・VPN併用時にDNSリークを防ぐ小ワザ
ポイント1:まずはDNSリークの仕組みを知ろう
DNSリークとは何か?
DNSとは、ネット上の「住所帳」のようなもの。ウェブサイトにアクセスする時、URLをIPアドレスに変換する役割を持っています。VPNやプロキシを使うと、本来ならこのDNSの問い合わせも安全なトンネル(暗号化)を通して送られます。
しかし、Windowsの設定によっては、このDNSの問い合わせだけが暗号化されず、インターネット上に漏れてしまうことがあるんです。これが「DNSリーク」です。
通常の通信 | VPN/プロキシ通信 | DNSリークが起きた場合 |
---|---|---|
すべての通信がISPを通る | 通信は暗号化されVPNを通る | DNSだけがISPに送られる可能性あり |
ポイント2:なぜWindowsはDNSリークが起きやすいのか
Windowsの仕組みによる落とし穴
Windowsには「Smart Multi-Homed Name Resolution(スマート マルチホーム ネーム解決)」という機能があります。これは、複数のネットワーク経路から最速のDNS応答を選ぶ機能ですが、これが原因でVPNを使っていても、ISP(インターネットプロバイダ)経由でDNSが問い合わせられてしまうことがあります。
また、プロキシを併用していると、WindowsがDNSリクエストをローカルの設定に戻してしまうことも。つまり、VPN+プロキシを入れていても、Windowsが勝手に近道してしまうのです。
ポイント3:具体的なDNSリーク防止の設定方法
Windowsでやっておくべき4つの設定手順
以下の手順を踏めば、DNSリークのリスクを大きく下げることができます。
① ネットワークアダプターのDNS設定を手動で指定
- 「コントロールパネル」→「ネットワークと共有センター」へ
- 使用しているネットワークの「プロパティ」を開く
- 「インターネットプロトコル バージョン4(TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」
- 「次のDNSサーバーのアドレスを使う」を選び、VPNが指定するDNSアドレスを入力
例:CloudflareのDNSなら「1.1.1.1」と「1.0.0.1」
② Windowsの「Smart Multi-Homed Name Resolution」を無効化
- 「Windowsキー+R」で「regedit」と入力しレジストリエディタを起動
- 以下の場所へ移動:
HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Policies\Microsoft\Windows NT\DNSClient
- 右クリック→新規→DWORD(32ビット)値→名前を「DisableSmartNameResolution」
- 値を「1」に設定
※レジストリ編集は慎重に。必ずバックアップを取りましょう。
③ VPNクライアント側の「DNSリーク防止機能」を有効にする
ほとんどのVPNアプリには「DNSリーク保護」や「DNS Leak Prevention」といったオプションがあります。これをONにするだけでも、かなりの効果があります。
例:NordVPNの場合、「Settings」→「Advanced」→「DNS Leak Protection」をONに
④ Windowsファイアウォールで外部DNSアクセスをブロック
- 「コントロールパネル」→「Windows Defender ファイアウォール」→「詳細設定」
- 「送信の規則」→「新しい規則」→「カスタム」
- プロトコルに「UDP」、ポートに「53」を指定
- プロファイルで「パブリック、プライベート」を選び、接続を「ブロック」
ポイント4:プロキシ・VPN併用時の注意点
併用によって逆に漏れることもある
VPNとプロキシを同時に使っていると、それぞれがDNSの問い合わせ先を別に設定している場合があります。この場合、プロキシがVPN外のDNSを使ってしまう可能性があるため、以下に注意が必要です。
- VPNよりも先にプロキシが通信していないか確認
- プロキシの設定で「DNSをクライアント側で解決」にしない
- 可能なら、VPN側の「すべてのトラフィックを通す」設定を有効に
推奨の組み合わせ(安全性重視)
VPN設定 | プロキシ設定 | 安全性 |
---|---|---|
DNSリーク防止ON | DNSリゾルバ使用なし | ◎ 非常に高い |
カスタムDNS設定 | クライアントでの解決OFF | ○ 高い |
自動設定(デフォルト) | クライアントで解決ON | △ 低い |
最後に
DNSリーク対策は“設定次第”で大きく変わる
VPNやプロキシを使っても、設定が甘ければDNSリークのリスクは避けられません。特にWindowsはデフォルトでDNSを最短経路で処理しようとするため、注意が必要です。
この記事で紹介した4つの設定を行い、VPN・プロキシ両方の設定を見直すことで、DNSリークの心配をぐっと減らすことができます。「安全な通信環境」は、道具よりも“設定”がカギになります。
ぜひ一度、あなたの環境でもDNSリークが起きていないか確認してみてください。無料のチェックツール(例:dnsleaktest.com)も活用して、確かな安心を手に入れましょう。

ではでは、参考までに。
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